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宿の完成はゴールではなくスタート

百名伽藍

篠塚:そういう思いまで込められてこの空間が出来上がったのですね。構想から実際の開業までは、どれくらいの時間を掛けられたのですか?

渕辺:土地取得の段階を含めると10年ですね。なかなか百名のような土地がないものですから、土地を見つけるところから。この場所はこの地域の方にとっては聖地なんですね。久高島が見えますし、近くには斎場御嶽というそれこそ聖地のような場所がある。ですから、地域の方々の中には、その環境を崩さないで欲しいという思いもあったと思います。

篠塚:様々な意見があったと思うのですが、最終的に地域の方にはどのように納得していただいたのですか?

渕辺:とにかく自分たちの思いをきちんとお伝えしていきました。普通はホテルというとビルを想像しますけれど、あくまでもこの地域に溶け込んで、ホテルを作ることで自然がもっと豊かになるようなものを作っていきます、と頭を下げてご理解いただいて。そうして土地を取得した2年後にようやくコンセプトづくりが始まって、主人と2人で高野山や鎌倉の色々な寺社仏閣を見てまわったんです。

篠塚:寺社仏閣を参考にされたのですね。

渕辺:禅をテーマにすることは決まっていたので、本当に心身ともに落ち着く空間がどういうものか、回廊の作り方、建物の木の質感はどんなものかといった空気感を現地で確認していたんです。福井県の永平寺にも足を運んで、朝3時に起きて勤行(ごんぎょう)といいますか、座禅を組んで。そうすると、「宿坊」や禅の持つ実際の空間がどんなものかも分かりますよね。

百名伽藍

篠塚:コンセプトづくりのために宿坊での宿泊や座禅を体験されて。それによって伝え聞いたり、本で読んだだけの知識とは違うものを感じ取れたということですね。

渕辺:何かひとつサンプルがあれば、それに近づいたときが「完成」ですけれど、そうではなくて「無」から作っていくわけですから、自分たちの理想像は永遠に途切れないですよね。ですから「完成」はなくて、どうすればさらに進化できるか追求していなければいけない。そのためにも、実際に触れてみることは大切なんです。

篠塚:コンセプトづくりを経て今もさらに成長している、生きている感じですね。ここまでこだわりを持って進まれてきて、実際の反響はいかがですか?

渕辺:2015年10月に香港で「ワールドラグジュアリーホテルアワード」を受賞したご縁で、業界の世界的権威のような方にも訪れていただけるのですが、特に海外の方々が百名伽藍のコンセプトにとても共感してくださっています。リピーター率はとても高くて、開業から3年半ではありますが、もう7〜8回目の宿泊という方もいらっしゃいます。3〜4泊で滞在される方も本当に多いですね。

百名伽藍

篠塚:再訪したくなる、長期滞在したくなる魅力があるということですね。本日実際に伺ってみて、私もできることなら3泊でも4泊でもさせていただきたいと思いました。

渕辺:波の音が聞こえますでしょう? 本来私たちが持っている五感、たとえば聴覚、視覚、感じる力といったものが、今の人工的な生活の中ではどんどん麻痺したり薄くなったりしてしまう。だから、ここに来たらそれが呼び起されて、何となくでも「本来の自分」を感じていただけると思うんですよね。夜はネオンの明かりは見えませんけども、逆に暗いことがラグジュアリーな雰囲気を生み出していて、自分を振り返ったり、あるいは安らいだりできるということもあると思います。ホテルとしてはまだまだではありますが、この空気感や自分たちの個性は崩さないように、さらに進化させたいと思っています。

百名伽藍オーナー兼総支配人 渕辺 美紀

百名伽藍オーナー兼総支配人

渕辺 美紀

鹿児島県出身。客室乗務員等での勤務を経て、昭和60年に(株)ビジネスランドの代表取締役社長に就任。平成5年には(株)ジェイシーシー設立、代表取締役副会長に就任。沖縄国際大学や琉球大学の非常勤講師を歴任し、平成24年に百名伽藍を開業。オーナー兼総支配人を務める。

Hyakunagaran

Hyakunagaran

沖縄県 > 沖縄南部

琉球創世神話の舞台として知られる神秘の地に、静かに佇む百名伽藍。青い海に臨み、樹木に包まれた白亜の城は、旅人を優しく迎えます。