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磨いてきたのは、目には見えない「伽藍ホスピタリティ」

篠塚:ここまでのお話を伺うと順調に進まれてきたように見えますが、困難はありましたか?

渕辺:コンセプトを具現化する作り方には本当にこだわってきたのですが、もともと飲食事業が中心でしたので、ホテルの接客はほとんど素人なんですね。とにかくお客様に接するにあたっての心得を一番大切にしていましたけれど、技術的なものはないんですよね。だから、納得のいく接客に至るまでに少し時間がかかりました。

篠塚:まったくゼロの状態から、どのように百名伽藍の接客の基礎を作られたのですか?

渕辺:最初はすべて私ひとりで整えていきました。私自身も旅行が好きで色々なホテルや旅館に泊まっていたので、その時に経験した接客の流れやどんな風にすれば気持ちが良いかという点を落とし込んで。ひとつひとつ、基本的なサービスから始まったので少し時間は掛かりましたけれど、今ではスタッフ自身が自分たちのやり方を極めてくれています。おかげさまで、「百名伽藍のスタッフはスーパーマンですね」というようなお言葉も頂いています。

篠塚:実際の事例はありますか?

渕辺:ある時、ご家族4人のお客様がいらしたのですが、船を準備してほしいと仰るんです。理由を伺うと、お父様が亡くなったので生前に好んでいた沖縄の海に散骨にいらしたということで。それで、私が「散骨が済んだら陰膳を用意しよう」と思い立ったんですね。ただ、そこから先はスタッフが一歩踏み込んで、お客様との会話の中で亡くなったお父様が好きだったものを聞き出して、それを厨房のスタッフに伝えて準備を進めて。そして、夜にはお父様が好きだったものを盛り込んだ陰膳が用意されていました。

百名伽藍

篠塚:素晴らしいエピソードですね。そんな現場では、どんなことを大切にされているのですか?

渕辺:百名伽藍には、実は接客のノウハウのマニュアルが一切ないんですよ。百名伽藍は16室の小さなホテルですし、お客様は旅に自分のストーリーを持っていらっしゃる。だからお客様への対応というのは全て異なります。そのことを感じる力、応対する力を持ってほしいということで、あえてマニュアルは作っていないんです。どうしたらお客様に「ここにきてよかった」と喜んで帰っていただけるかを考えることが私たちの役割なので、マニュアルに拘束されたくないんですね。自分が考えるおもてなしを自由に届けられますから、スタッフも喜んでくれますよね。

百名伽藍

篠塚:十人十色のサービスを提供されているのですね。実はReluxでも、旅行者の方の課題や要望に対してマニュアル化された画一的な対応をするのではなく、とにかく課題解決を目指そうという話をしているんです。なので、すごく勉強になります。

渕辺:そういったサービスの方が、スタッフの喜びになりますよね。百名伽藍では「伽藍ホスピタリティ」という言葉を作って、「百名伽藍がお届けするべきものは伽藍ホスピタリティだから、それを理解して実践していきましょう」と全員に伝えているんです。その精神は目には見えないですけれど、何がやりがいかと言ったら、お客様の喜びを受け取れること。スタッフが、お客様の心からの「ありがとう、よかった」という言葉を受け取れる環境を作ってあげることが重要だと考えています。ホテルに対してではなくて、スタッフ個人へ「ありがとう」を言っていただけたらと。

百名伽藍オーナー兼総支配人 渕辺 美紀

百名伽藍オーナー兼総支配人

渕辺 美紀

鹿児島県出身。客室乗務員等での勤務を経て、昭和60年に(株)ビジネスランドの代表取締役社長に就任。平成5年には(株)ジェイシーシー設立、代表取締役副会長に就任。沖縄国際大学や琉球大学の非常勤講師を歴任し、平成24年に百名伽藍を開業。オーナー兼総支配人を務める。

Hyakunagaran

Hyakunagaran

沖縄県 > 沖縄南部

琉球創世神話の舞台として知られる神秘の地に、静かに佇む百名伽藍。青い海に臨み、樹木に包まれた白亜の城は、旅人を優しく迎えます。