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お客様とともに、日本の文化を守る宿でありたいーー。地域のショールームとして文化財の宿を守り続ける村上社長に、「落合楼」との出会い、そして宿のあり方を伺いました。

ゲスト

落合楼村上 主人 村上昇男

落合楼村上 主人

村上昇男

1964年、静岡県出身。大学卒業後、電機系の会社へ入社。1992年に伊東温泉の旅館を受け継いだのち、1998年にフリーランスに転向し、パソコントレーニングの講師や職業訓練校の講師を務める。その後、2002年に「落合楼村上」を開業し現在に至る。

インタビュアー

株式会社 Loco Partners 取締役 塩川 一樹

株式会社 Loco Partners 取締役

塩川 一樹

1979年生まれ、立命館大学経済学部卒。株式会社ジェイティービーを経て、株式会社リクルートへ中途入社。旅行事業部にて、首都圏・伊豆・信州エリア責任者を歴任し約2,000施設以上の担当を歴任。2012年7月より株式会社Loco Partners取締役に就任。

「旅館業」未知の分野への挑戦

落合楼村上

塩川:まずはじめに、村上社長と旅館業との出会いをお聞かせくださいますか?

村上:先代オーナーからこの施設、建物、歴史も含めて「落合楼」を継承させていただいたのが2002年でした。創業142年の老舗旅館なので直系一族が継承しているとよく誤解をされるのですが、私は創業家との血縁はありません。しかも私の実家が旅館業を営んでいたわけでもありません。ただ、平成3年に結婚した家内が伊東温泉で80年以上続く老舗旅館の長女だったため、サラリーマンを退職して家内と共に後継者として入ったのが旅館業との出会いでした。その旅館を祖父、両親、私どもと親子三代で営業しておりましたが、祖父が他界後、諸事情により私と家内のみならず歴史を築上げてきた両親までもが旅館を離れざるを得なくなってしまったのです。

塩川:「離れざるを得なくなった」と表現されましたが、そこでは悔しい思いをされたのでしょうか。

村上:そうです。旅館業というのはお客様に喜んでいただくことで自らの幸せを感じる究極の仕事だと思っていましたので、旅館から退く際には志半ばという思いがありました。親子何代にも渡って通って来られるようなお客様がいらしたり、「顔を見にきたよ」と声をかけてくださったり、そうした繋がりのあるお客様が多く泊まりに来られており、初めて旅館業に携わったその場所は幸せな場所だったのだと思っています。

塩川:実際に旅館業をスタートしたときの初心というのは覚えていらっしゃいますか?

村上:最初の3年間は何も言わずに、与えられた仕事をとにかくやろうと思っていました。はじめから役職をいただいたのですが、旅館の事を何も知らない私はバケツを持って雨漏りの対応をしたり、切れた電球を取り替える、そういうところからスタートしました。また、当時はお客様に「君はここの婿養子か、じゃあお前は糞を喰らっても耐えるんだな」と、それくらい我慢しなければダメだと言うようなことを言われました。我慢するのは当たり前だと思っていましたが、両親から「ああしなさい、こうしなさい」と言われるようなことはありませんでした。彼らのおもてなしの仕方を横で見ながら、本当に自然に体で覚えていくような感じでした。

塩川:3年間かけて旅館業を極めていかれる中で、ご両親の接客というものは村上社長にとってどのように映りましたか?

村上:聞かされていた話では、当時一品出しの会席スタイルでお料理を提供する施設は4〜5万円の旅館だけであった中、両親は1〜2万円台で会席スタイルに取り組み、サービスの質を高めていったそうです。そして伊東の旅館の中で最も早くリーズナブルな価格帯で一品出しを始め、後の繁栄につながりました。祖父の代から両親の代へ、先代たちが苦労しながらお客様に愛される旅館をつくりあげてきたのです。

塩川:伊東での6年間、前半は「学ぶ」という姿勢でこられて、後半の3年間には心境の変化などはありましたか?

村上:「3年間は黙って」と自分も決めていましたが、やはり4年目、5年目になってくると自分の考え方は出てきました。ただ、両親は何十年と旅館業をやっているのに対し自分は3年ほどの経験しかないわけですから「チープな考え方である」という自覚はしていました。ただ、設備投資をするタイミングでもありましたので、それに関しては意見を述べることもありました。また、経営者の方たちの集まりですとか、セミナーであるとか、さまざまな勉強会を経験させていただくこともできました。

落合楼村上 主人 村上昇男

落合楼村上 主人

村上昇男

1964年、静岡県出身。大学卒業後、電機系の会社へ入社。1992年に伊東温泉の旅館を受け継いだのち、1998年にフリーランスに転向し、パソコントレーニングの講師や職業訓練校の講師を務める。その後、2002年に「落合楼村上」を開業し現在に至る。

落合楼 村上

落合楼 村上

静岡県 > 中伊豆

中伊豆の美しい森と川に囲まれた「落合楼村上」。有形文化財に指定されている、由緒正しき老舗旅館です。