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みなの母のような女将を目指して

祇園畑中

塩川:柊家での研修でさまざまなことを学ばれ、「祇園畑中」でいよいよ仲居さんとしてスタートされたのですね。

畑中:そうですね。戻ってきて、まず仲居さんのお仕事を1年半、1番古い仲居さんに教わりました。残り半年はフロント係として、お客様と近い距離で楽しくお仕事をさせていただきました。

塩川:ひいおじい様の代からの旅館で、その時からの歴史とお客様に支えられているということに感謝しながら、仲居さんから女将へステップアップするチャレンジがはじまったのですね。

畑中:仲居さん、フロントを経て2年で女将になりましたが、母もいませんし、スタッフのみなさんは年上でいわば先輩ですので、当時の私は頼りなく見えたのだと思います。一気に仲居さんが辞めてしまったときもありますし、いろいろと難しいこともありました。

塩川:いろいろな苦難がおありだったのですね。現在はどのようなことが課題であると感じていらっしゃいますか?

畑中:今の課題は人材不足です。京都という土地柄、恵まれている方だとは思いますが、それでも働く方が少ないなと感じますね。ですので、私は旅館やホテルの職種をキャビンアテンダントのような人気職種にしたいのです。若い女性にとってキャビンアテンダントは憧れだと思うのですが、では旅館の女将とキャビンアテンダントは、接客において何が違うのだろうと。そう考えたときに、もう少し人材にお金をかけて、プロフェッショナルを育てていきたいという思いに至ったのです。

塩川:素晴らしい夢ですね。その夢を実現するために、具体的に考えていらっしゃることや目指す「女将像」があればお聞かせください。

祇園畑中

畑中:今、待機児童の問題が大きく取り上げられていますが、旅館業は女性の人手を必要としますので、お子様も一緒に育てられるような会社づくりをしたいと思っています。近くに保育園や託児所などをつくることができれば、仕事の合間に子どもに会いにいけますし、一緒にご飯を食べたりもできます。旅館には衣食住が全てあるので、そうしたところも一緒に面倒を見られるのではないかなと思うのです。旅館の仕事は拘束時間が長いので大変ですが、この仕事をしたいと思ってくださる方が活躍できる場をつくっていきたいですね。また、私が感じますのは、女将はお客様やスタッフみんなの「お母さん」であるべきだということです。どこの会社も同じだと思うのですが、地方から親元を離れてこちらに出てこられた若いスタッフのケアをしなければいけません。そう思うのは、私の母親の存在があったからかもしれません。

塩川:今後、「祇園畑中」をどのように導いていこうと考えていらっしゃいますか?

畑中:1番に考えているのは、会社経営者として常にアンテナを張り、お客様を飽きさせずに会社を存続させることです。やはり元手がなければお客様を満足させられることも、設備投資もできません。従業員のお給料を上げることもできませんので、地に足をつけてきちんと経営をしていきたいです。そして、私もいつか後継者を産んで、育てることで「仕事が終わる」のかなと思っています。

塩川:この宿をつないでいきたいという想いですね。「祇園畑中」を続けていくことで喜ばれる方々がいらっしゃるのだと思います。女将自身、未来に向けて自分はこうありたいというイメージはお持ちですか?

畑中:最近、茶道から学んだことがあります。茶道は招かれる方にもそれなりの心得がないと楽しめません。招く方、招かれる方、お互いに想いがないと、気持ちよい時間を過ごすことができないのですね。そこから、「自分もいいお客様でなければいけない」と思ったのです。旅館はホテルと違い、旅館業法という日本の法律に則って運営されていますが、その法律では、旅館とは「和」の施設を有するものであると決まっています。「和」には「日本的であること」と同時に人々が仲良くする」という意味があります。スタッフは、お客様から思いやりを持って接していただけたら、同じ日は二度と来ないという想いでおもてなしをします。それが日本のおもてなしですよね。イライラしたり機嫌を悪くしていると、それが周りに伝染していくし、みんなが嫌な思いをするということに最近ようやく気づくことができまして、だから私は明るくいたいし、みんなに優しくしようと心がけています。

塩川:女将として「お母さん」のような存在でありたいという気持ちが伝わってきます。本日は、ありがとうございました。

祇園畑中

写真:木村 正史 / 文:宮本 とも子

祇園畑中 女将 畑中 麻美

祇園畑中 女将

畑中 麻美

京都府生まれ。短大を卒業後、ホテル学校へ進学。京都府内の老舗旅館で女将修行を積んだのち、実家である「祇園畑中」に戻り女将を務める。

Gion Hatanaka

Gion Hatanaka

京都府 > 祇園・東山

京都の魅力が集結した畑中に佇む、純和風旅館。日本文化の和のこころと、真心のこもったおもてなしが詰まった宿です。