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唯一無二の世界観を実現するトライ&エラー

塩川:壮大なスケール感で未来をご覧になっていますが、今後はこの空間はどのようになっていくのでしょうか。

小原:少し先の未来は、テクノロジーの進歩によりAIやロボットなどが人の代わりに働くようになり、多くの業態で人は働かなくてもよくなるかもしれません。ベーシックインカムのような制度が国ごとに導入されていけば、人々は時間とお金に余裕を持てるようになり、余暇は主暇となり、より旅をするようにもなり得ます。また、テクノロジーの進歩は言語の壁を無くし、人々はマルチリンガルに世界中の人々とコミニュケーションできるようになるとも考えられます。そういう来たるべき未来に、できれば日本のこの地から、世界中の旅人に愛される、世界中の旅人の憩いの場となるような空間をつくっていけたらと思っています。

御宿 竹林亭 御宿 竹林亭

塩川:竹林亭の未来感としては憩いの場というのが1つテーマになっているのですね。

小原:はい。人はただ佇んでいるだけで心地よいほどの空間があれば、できるだけ長くその場にとどまっていたいと思うのではないでしょうか。そして、長くその場にとどまるためには泊まる場所が必要になります。また、その心地よさを持続するためには良いサービスや美味しい料理が必要だと思うのです。そういう見地から、私たちは結果として旅館を商い、庭園を商っているのだと考えたいのです。ただ佇んでいるだけで心地よい空間、御船山という「憩いの場」がそこにあるから。まだまだ道半ばで完成してはいないですが、そのような空間をつくっていきたいと思います。

塩川:竹林亭ではいろいろな構想をかたちにされたり、リニューアルをされていらっしゃるので、このあとどうなるのだろうという期待感が高まります。

小原:ミニマルやシンプルさというものは簡素で素敵ですが、一方で分かりにくかったり、伝わりにくかったりすることもあると思います。そのため、今後はそれらの意味を拡張したり、伝わりやすくしたりする手法に取り組んでいきたいと思います。もちろん今やっていることをテーマパーク化するつもりはありませんが、もう少し表現としてアグレッシブかつダイナミックに魅せていくのもいいのではないかと思います。また、世の中の美意識もそちらの方向に向かっていると思うのです。日本人の精神性や美徳感は残しながら、庭の世界観や宇宙観がもっと伝わるような、そういう意味での拡張性や柔軟性を持って宿づくりや庭づくりに取り組んでいきたいと思いますね。

塩川:単なるラグジュアリーな空間とは違う趣きを感じますね。

小原:そうですね。私たちも贅沢な空間創出という意識は持ちながらやっているのですけれども、やっていることはどれも現状維持、原状回復が前提なのです。ライトアップをしている照明を消せばあかりはなくなりますし、プロジェクターの電源を切ればまた元の自然に戻るわけですよ。何かを残すために物質的に何かを建てるとか付け加えたりはしていないですね。瞬間的なところで演出はしますが、自然に帰すということを前提で拡張、更新しています。

塩川:革新的なことを次々とやられていて、トライ&エラーを繰り返していると思うのですけれども、その中でこれだけは譲れない信念とはどういったものでしょうか。

小原:自分たちだからできることに今後もチャレンジし続けていきたいですね。他が真似できない環境があるならその環境を活かして、優秀な人材がいるならその人材を活かして、自分たちだからできることに注力し、それを掘り下げて、トライ&エラーを繰り返しながら、まだ見ぬ新しい価値を創出し続けていきたいです。

塩川:最後に、御船山に対する思いをお聞かせください。

小原:私は幼少より御船山を遊び場として感性や美意識を育み、都会での暮らしを経て故郷に戻り、あらためて御船山の美しさ・寛容さを認識しました。音楽に向かっていた自分が旅館という場所に身を置けたのも、この空間があってのことです。傾いた会社を建て直すにあたっては人一倍努力もしました。死ぬほどしたかもしれません。しかし、ずっと私が追い求めていたのは「夢中になること」です。人間だれしも努力することはできます。しかし夢中であり続けることはなかなかできないと思うのです。なにかに夢中であり続けることがとても大切だと思いますので、今後も夢中になることをこの御船山の地でやっていきたいなと思います。

塩川:「夢中」は努力に勝るということですね。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

歴史の宿 御客屋

写真:中島 舞 / 文:宮本 とも子

御宿 竹林亭 代表 小原 嘉久

御宿 竹林亭 代表

小原 嘉久

1975年佐賀県生まれ。大学卒業後、ホテルスクールを経て、旅行会社に入社。2003年(株)御船山観光ホテルに入社。2007年より代表に就任(御宿 竹林亭・御船山観光ホテル・御船山楽園)。現在に至る。

Onyado Chikurintei

Onyado Chikurintei

佐賀県 > 嬉野・武雄

15万坪もの敷地からなる御船山楽園の中に佇む、「御宿 竹林亭」。壮大な御船山と、四季折々の自然に溶けこむように作られた宿は、まさに「庭屋一如」の世界。日本の四季を愛でる喜びを感じる旅にでかけませんか。