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これからのホテルのあり方と、ホテルマンの使命

東京ステーションホテル

篠塚:これから先の100年も、一生に一回の大切なご旅行をお預かりし続けることへのプレッシャー、責任はもちろん大きいですよね。

藤崎:私たちは何をすべきか、一生に一回のご旅行を任せていただいて大丈夫だろうかと緊張するスタッフもいるかもれませんが、それが私たちの使命だと思っています。もちろん、そうした場面では全力でスタッフを支えます。そして、過去の経験をふまえると、業績改善することはマネジメントの責任とはいえ、数値改善に集中しすぎてしまうと短期的な結果に終わってしまうことがあります。もちろん、各種KPIマネジメントは必要ですが、中長期的な成功を望む場合、やはりお客様から支持され続ける以外には方法はありません。

篠塚:テクニカルな方法は短期的には有効でも、中長期的には絶対に落ち込むことが分かると。

藤崎:たとえば、単なる需給バランスを基にする従来の「レベニューマネジメント」一辺倒のやり方ではなく、そこに「レピュテーションマネジメント」を加え、2つの「RM」を重ねる方法が良いと考えています。レピュテーション、つまりお客様がこのホテルに訪れて感じたことや、価格に見合っていたかどうかという顧客による客観的評価を知ることが何より重要です。東京ステーションホテルのアンケートには「価格に見合っていたか」、「知人や友人におすすめできるか」という2項目は必ず入れています。宿泊の場合には1泊数万円を頂戴するわけですから、価格以上のおもてなしや満足が自分たちの評価であり、価値だと思っています。

東京ステーションホテル

篠塚:「価格に見合っているか」、「知人や友人におすすめできるか」という指標は、今後も変わらないのでしょうか?

藤崎:そうですね。どんなクラスの旅館やホテルであっても、アンケートはこの2項目が重要だと思います。価値を決めるのは、最終的にはお客様。だからこそ、業績改善というのはお客様からの評価や評判を上げることに尽きるのだと思います。

篠塚:すると、やはり「レベニューマネジメント」と「レピュテーションマネジメント」の2つの「RM」を考えることが重要であるという文脈につながりますね。

藤崎:日々アップされるSNSでの書き込み、つまりレピュテーションは、幹部スタッフの携帯端末へ毎晩届きます。たとえばご不満について書き込みをした方が未だ滞在中であれば、チェックアウトされるまでにフォローをするなどのアクションをしています。また、それらの情報を翌朝に行なわれるオペレーションの全体ブリーフィングでも共有します。サービスは瞬間生産、瞬間消費で、なおかつ瞬間評価される。特にSNSへのアップは瞬間評価そのものですから、1週間後や1ヶ月後に把握していては追いつきません。リアルタイムで把握し、アクションを取らなければならない。スタッフにもスピード感のある仕事を、と伝えています。「なるべく早く」は通用しません。手を付けられていない期間の分だけ、マイナス部分はお客様の目に触れ続けているわけですから。

篠塚:改善活動は、週単位や月単位では間に合わないということですね。日単位、時間単位で動くべきであるというのは、インターネットビジネスである「Relux」でもまったく同じことが言えます。ホテルでここまでのスピード感を徹底されているケースはとても珍しいですよね。このほかにも、こだわりをもって取り組まれていることはありますか?

東京ステーションホテル

藤崎:ホテルは、ディティール(細部)がすべてです。ディティールを理解せず、こだわることも出来ないのであればホテルビジネスは成立しないと思います。物にも価格にも意味を込めなければならないと思いますし、お客様はそれを期待していますから、プライスレスな経験をお届けしなくてはなりません。お客様に何かを尋ねられた時にきちんとご説明することはもちろん簡単ではないのですが、たとえお客様の目に見えないところでも努力を惜しまず、すべてに意味を込めてご用意している。だからこそ価格に自信を持とう、と言い続けています。

篠塚:ここまでお話を伺って、ホテルビジネスという枠を超えて、プロフェッショナルとしての仕事を極めていらっしゃるのだと感じました。すべてに意味を込めるということが、ホテルや旅館がきちんと産業として残っていくための方法になるのかもしれません。本日は、素敵なお話をありがとうございました。

東京ステーションホテル

写真:田中 和弘 / 文:佐藤 里菜

東京ステーションホテル 常務取締役総支配人 藤崎 斉

東京ステーションホテル 常務取締役総支配人

藤崎 斉

1956年、東京都出身。立教大学卒業後、(株)リクルートの子会社を経て、東京ヒルトンインターナショナル(現:ヒルトン東京)開業スタッフとして入社。宿泊支配人などを務めたのち、2002年にウェスティンホテル東京に入社し副総支配人に就任。2006年より(株)JALホテルズで執行役員営業本部長を務め、2011年より東京ステーションホテル開業準備室室長に就任。2012年より同ホテルの取締役総支配人を務め、2015年より現職。2013年に「ホテリエ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。

The Tokyo Station Hotel

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2015年に開業100周年を迎えた、東京の老舗ホテル。「装い、設え、振舞い」、3つのおもてなしでゲストをお待ちしています。