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遊び心をつくる「はひふへほ」

塩川:石亭では館内の随所に遊び心が感じられますが、そこにはどういった思いがあるのでしょうか。

上野:その時に出会った宿仲間とできた集まりが、世界宿文化研究学会です(酒の席で命名。以下、宿文研。)。仰々しくも、世界に誇るべき日本旅館の姿を追求する学会ということになったのです。取り組むためのキーワードとして提案されたのが「はひふへほ」というものでした。「は」は「儚いもの」というコンセプトです。花、匂いなどを宿の中でひとつの文化的な要素として活かす。儚いものとはなにかを検証していくことが、宿として重要なポイントであるという考え方です。「ひ」は「炎」、灯り、ライティングですね。石亭では石畳や庭園にろうそくや篝火などをすぐに取り入れました。ゆらめく篝火は閑とした庭にやさしさを生み出しました。 次に「ふ」ですが、これは「お風呂」です。現存する温泉風呂を少しでも情緒のある空間にしたいと考えて、風呂づくりをしていこうと考えました。

庭園の宿 石亭 庭園の宿 石亭 庭園の宿 石亭

塩川:「はひふへほ」の残り、「へ」と「ほ」はどういった内容ですか

上野:「へ」は「ベッド」、つまり「寝る」ということですね。布団に注目したのです。当時、有馬温泉 御所坊の金井さんが花小宿を新規開業するにあたり、床の間の前にベッドを置くという構想をしておりました。今でこそいろいろな旅館が取り入れていますけれども、畳の上にベッドを置くということが美しいと気付き、将来のスタンダードとして最初にやったのは、金井さんでしょう。従来のマットレスを厚く硬質ウレタン(丸八)にして重ねることで、すぐに30センチのベットのスタイルに変更できるようにしたのも、このときだと思います。そして最後は「ほ」ですが、これは「本」です。都会のホテルにライブラリーがデザインとして表現された時でした。本好きの亭主がいる宿ならすでにロビーの一角に本がたくさん置かれていたりしましたが、それを意識してみようということです。石亭ではちょうど床下がありましたので、そこに棚を加えて本を置けるようにしました。このように、それぞれの宿の思いを「はひふへほ」で表現してもいいのではないかと宿文研で話し合いました。

庭園の宿 石亭 主人 上野 純一

庭園の宿 石亭 主人

上野 純一

1957年、広島県廿日市市佐伯郡大野町生まれ。慶應義塾大学卒。大学卒業後に帰広し、30歳で「庭園の宿 石亭」と「あなごめし うえの」の代表に就任。

庭園の宿 石亭

庭園の宿 石亭

広島県 > 広島・宮島

1500坪もの日本庭園をもちながら客室はわずか12室というこの地でも随一の離れづくりの一軒。美しい庭園を見ながら、日本の心に触れる癒やしの時間をどうぞ。