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第3章 「本物の魅力」を伝えるということ

塩川:そうしたご縁の中にいろいろなヒントや気付きがあって、ご自身の手で奥津荘の変革をしていかれたのですね。

鈴木:そうですね。足し算と引き算の繰り返しで変革をしてきました。

塩川:その後、鈴木さんはどのタイミングで社長に就任されたのでしょうか。

鈴木:奥津荘に戻ってちょうど10年が経ったときですね。自分から社長を代わってくれという話をしました。親は、自分が奥津荘に戻ってきても、ああしろこうしろということを一切言いませんでした。これは中学の頃のことですが、試合でいつも他のチームメイトには指示を出すサッカー部の監督が、わたしにだけ何も言わないのですね。先生に「なぜ自分にだけ何も言ってくれないのか」と聞きましたら、「お前は自分で考えて動く方がよさが出る」と言われたのです。親が今まで自分にああしろこうしろと言わなかった10年間は、この監督と同じ気持ちだったのだろうなと気がつきました。

塩川:社長に就任されて、ご自身の宿のみならず旅館業界を盛り上げるにあたっての奥津荘の立ち位置、役割などを考えられるようになったのではないですか。

奥津荘

鈴木:奥津荘の宿の強みは、誰がどう見ても温泉です。奥津荘の地域とすれば、この自然からの恵み、どこにもないであろうこの温泉をいかに大切なものとして扱って、その素晴らしさを伝えていくかということですね。本質はこうだよということを伝える役割があるのかなとも思います。温泉についていえば、まったく酸化されていないということが一番の強みです。それに加えて、入浴に適温の42〜43度で湧き出してくるということが奇跡の温泉と言われる所以ですね。

塩川:自然の恵みに感謝できるということも、温泉の持つ力ですね。

奥津荘

鈴木:この十数年でひとつだけ分かったのは、自然には勝てないということです。いくらいい宿にしてやろうと思ったところで、この温泉以上のものは人工的には作り出せません。だからこそ、お客さまもこの自然そのものを求めて奥津荘に来られると。そして、我々のサービスも自然体であることで、この宿全体の調和を取っているなと、そう感じました。

塩川:お客さまが本当に求めるものは、本物の持つ魅力や自然にあるのですね。

鈴木:十数年前のデザイナーズ旅館というものは、その土地に由来のない県外の設計事務所が、他の地域の案件で余った材料を次の案件にまわしたりするので、同じような宿ができてしまうのですね。まったく土地のカラーが出ていないことが多いなと感じていたのです。奥津荘はそうではないなと思いました。

有限会社奥津荘 代表取締役 鈴木 治彦

有限会社奥津荘 代表取締役

鈴木 治彦

1978年、岡山県出身。料理の専門学校を卒業後、旅館業以外の様々な職種を経験。地元・奥津温泉に戻り、2013年に「名泉鍵湯 奥津荘」の4代目社長に就任。

OkutsuSo

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岡山県 > 津山・美作三湯・蒜山

「鍵湯」と呼ばれる源泉かけ流しが自慢の極上の湯宿、名泉鍵湯 奥津荘。和風でありつつどこか現代的な、伝統あるこの宿で、歴史を肌で味わう旅はいかがですか。