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第2章 会社員を経験したからこそ見えたこと

塩川:テレビ局や銀行員など、会社員を経験したからこそ見える“旅館業とはどういうものなのか”を、岩村さんの視点からお聞かせください。

みやじまの宿 岩惣

岩村:会社はシステムがきちんとできていますが、旅館業というのは仲居頭さんがいて、口伝えでお仕事をするというところが残っています。それがとても曖昧な部分もあったり、人によってやり方がまったく違うということもありますので、そのあたりを最初に整えなければいけないなと思いながらやっていましたね。

塩川:人が持っているノウハウは旅館のよさでもありますが、会社のようにシステム化してカバーするという部分も両立していったほうがいいのではないかと思われたのですね。

岩村:仲居さんをされていると分かると思うのですけれども、1人で布団をあげて布団を敷いて、料理を出してということをします。それをきちんと分業化したいと思ったのですね。これからは、就業時間を過ぎても一生懸命頑張ってくれるような時代ではありません。従来型ではいい人が入ってくれても長続きしないと思いましたので、布団の上げ下げはパートさんにお願いして、仲居さんにはその分、お料理の品出しやお客さまへのサービスに集中してもらうというように、1人でやっていたことを分業化しました。

塩川:母親として感じることや会社員としての経験から、いろいろなライフステージにある方々の働き方をコーディネートしていったという感じでしょうか。

岩村:最初ここへ来たときには70代くらいの仲居さんもいまして、布団を敷くのも大丈夫だろうかと心配になるほどでしたが、その方は今まで生きて経験してきた知識がありますので、そういう年配の方もいなければいけませんし、逆に若くてパワーのある人たちもいなければいけません。当時は若い人がまったくおりませんでしたので、少しずつ若返りを図っていきました。

塩川:女将になられて感じた重責や、一方で楽しさもあったと思うのですが、岩村さんはどのように感じられましたか。

岩村:わたしは表に出てこれをやりましたよというよりも、自分が考えたことを裏から見ていて、それを喜んでくれているときが一番嬉しいですね。女将にはいろいろなタイプの人がいると思うのですけど、わたしはプロデュースするのが好きなので、表に出るというよりも裏側の仕組みを考えることの方が楽しいですね。

塩川:現在、岩惣の歴史が163年続いてきた中で、女将として10年が経ちました。岩村さんが女将になられてからのお客さまもいらっしゃれば、もちろんその前からのお客さまもいらっしゃると思います。

岩村:そうですね。自分が生まれる前から泊まりに来てくださっているお客さまもいらっしゃって、昔のことをよく教えていただきますね。ここに鶴が飛んできていたのだよ、ということから、こういう著名人が岩惣に泊まっていたのだよといったお話まで聞かせていただきます。

みやじまの宿 岩惣 女将 岩村 玉希

みやじまの宿 岩惣 女将

岩村 玉希

1976年生まれ。大学卒業後、TV局や銀行に勤めたあと、現在のご主人との結婚を機に宿泊業へ。2007年に「みやじまの宿 岩惣」7代目女将に就任。

Iwaso

Iwaso

広島県 > 広島・宮島

はじまりは安政元年。その歴史は、今からおよそ160年も昔に遡ります。日本の伝統建築が随所に見られるこの宿。長きにわたり歴史を見つめてきた岩惣で、情緒豊かな和の旅をご体験ください。