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第4章 女将のありかた、そしてこれからの岩惣

塩川:全く違う業界から旅館に入られて、お義母さまから女将業を習われたのですか。

みやじまの宿 岩惣

岩村:最初の2,3年ほどは義母と一緒に仕事をしていましたので、そのときに教えてもらったことが今の基礎となっています。例えば、最初は仲居さんの補助としてお手伝いをしていたのですが、だんだんと仲居さんの動きになってしまっていると。あなたは女将になるのだから、それを自分で意識しながら仕事をしなければいけないと言われたりしました。普段の生活でも女将として見られるのだから、ということは教えられました。

塩川:女将としての心の持ち方を教わったのですね。

岩村:作法などについては、1つひとつにマニュアルがなかったのですね。マニュアルはよくないと言われますけれども、やはり基本がきちんとできたうえでのそれぞれのおもてなしですので、布団の上げ方ですとか、お料理の出し方ですとか、いちいち細かく写真を撮って順番に説明して、義母が言ったことをかたちにしました。

塩川:マニュアルに沿った基礎ができたうえで、いろいろな個性の出し方をしていきましょうということですね。おもてなしに関することで特に気をつけていらっしゃること、意識されていることはありますか。

岩村:お客さまによっては、そっとしておいて欲しいという方もいらっしゃると思いますので、様子を見て会話をしてくださいということをスタッフには伝えています。実は明日朝が早くてね、ですとか、ここに行きたくてね、という話につながったら、そこからお手伝いできることが見えてきますので、お客さまの要望を会話の中から探し出すのです。

塩川:お客さまの滞在をよりよくする、パートナーというスタンスですね。

岩村:とにかく宮島の場合は1日でいろいろと回らなければいけませんので、宿の滞在時間は他の旅館に比べて短いと思うのです。ですからどんどん出かけてくださいという感じで、宿だけでなく宮島を楽しんでいただけるお手伝いができればと思っています。プロデュースという意味でのマネージャーになりたいと思っています。

塩川:マネージャーでもあり、お客さまにとっての母親という印象も感じます。そう思うと、気構えて来ていただくというよりは、気楽な気持ちで訪れていただきたいですね。

岩村:アンケートにも、「意外と話しやすかった」ですとか、こちらにはそういうつもりはなくても格式高さを感じられる方が多いようなのですが、気軽に来ていただいて、どんどん要望を投げかけて欲しいですね。

塩川:今後の岩惣や、女将の未来への展望があればうかがいたいと思います。

みやじまの宿 岩惣

岩村:茶屋の2階をちょっとしたラウンジにするなど、くつろぎのスペースをお部屋の中だけではなく、旅館の中にもっと広げていきたいというふうに思いますね。そうしたハード面での夢が叶いますと、また楽しみ方が増えるかなと思います。もう1つは、観光ガイドではありませんけれども、コンシェルジュのような人が常にいる環境をつくりたいと思っています。

塩川:この場で楽しんでいただきたいという気持ちをいろいろなサービスに転化していくということですね。最後に、岩村さんが思う女将業とはどのようなものか、お聞かせください。

岩村:女将の考え方や働き方はみなさんそれぞれに違いますが、わたしはプロデューサーでありたいので、いろいろと楽しんでいただけるようなことを考えて、裏でサポートするというイメージです。女将の仕事の内容は、いろいろあるようでぼんやりしています。ですから、これが正解というのは別にないのだなと思いますね。

塩川:女将の人柄が宿の雰囲気にあらわれていくのかも知れませんね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

みやじまの宿 岩惣

写真:杉原 恵美 / 文:宮原 とも子

みやじまの宿 岩惣 女将 岩村 玉希

みやじまの宿 岩惣 女将

岩村 玉希

1976年生まれ。大学卒業後、TV局や銀行に勤めたあと、現在のご主人との結婚を機に宿泊業へ。2007年に「みやじまの宿 岩惣」7代目女将に就任。

Iwaso

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広島県 > 広島・宮島

はじまりは安政元年。その歴史は、今からおよそ160年も昔に遡ります。日本の伝統建築が随所に見られるこの宿。長きにわたり歴史を見つめてきた岩惣で、情緒豊かな和の旅をご体験ください。