2019.3.14
翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都 総支配人 河本 浩
塩川:ここまで「本物」「ラグジュアリー」という言葉が多く出てきましたが、この翠嵐はとても温かい宿ですね。日本と海外どちらのゲストも快適に過ごせるホテルの機能を持ちながら、旅館の良さも持ち合わせた、いわゆる「宿」だという印象があります。
河本:とても嬉しいお言葉です。マリオットのラグジュアリーブランドカテゴリーには、オーセンティック・ラグジュアリーとディスティンクティブ・ラグジュアリーの2つ路線があります。翠嵐は、「独自のブランドラグジュアリーをお届けする」という後者に分類されます。ホスピタリティ業界においてラグジュアリー分野が成長し、そのサービスはTraditional(従前の格式)からExperimental(体験を伴う)へ、そしてTransformative(変革自在な要素を伴う)へと変化しています。お客さまがご自宅に帰られたときに「居心地の良いホテルだった」とおっしゃってくださることがすべての答えだと考えていますし、そのようなホテルでありたいと思っています。
塩川:翠嵐に宿泊させていただく中で、庭園を望みながら頂く朝食や伝統ある意匠に囲まれて頂く夕食の体験が心に残っています。翠嵐の食については、どんなこだわりをお持ちですか。
河本:翠嵐のレストランでは、フランス料理と日本料理のシェフが同じキッチン内で働いています。「継往開来」というコンセプトのもと、二人を中心に料理が出来上がっているのです。ひとつのものに対して、「日本料理ならどうなるか」「フランス料理ならどうなるか」と、互いの引き出しを見せつつ良いものを作ろうと心がけていますから、最終的にテーブルにお届けする料理としてはとても自信のあるものをご提供できています。フランス料理と日本料理が融合する、あるいはぶつかることで生まれるスパークのようなものこそが、翠嵐の料理です。また、翠嵐の食事は、料理そのものだけではなく日本庭園越しに嵐山を望みながら味わっていただく体験も含めて、「完成形」になると思っています。
塩川:建物と嵐山というロケーションに、さらにフレンチと日本料理のシェフが融合した価値を生み出しているわけですね。翠嵐がいかに特別な存在なのかがよく分かります。
河本:良いハードを作ることは多くの方に出来ることですが、ハードのストーリーを理解し、そこにプライドも感じ、その上でどんなソフトを加えていくかを練ることがオペレーターの仕事の醍醐味だと思うのです。
塩川:このロケーションを活かした特別な食事を味わっていただくことが、翠嵐の楽しみ方としてはマストかもしれませんね。そして、今年5年目を迎える翠嵐のほかに、河本さんはいま翠嵐と同じ「翠 SUI」というブランドで、沖縄に「イラフ SUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古(以下、イラフ)」を立ち上げるミッションもお持ちですね。その展望についてもお聞かせください。
河本:サービスではなくエンゲージメントの向上を目指していきたいと考えています。お客さまの想像より一歩先へ進む、あるいはお約束したものを超えることで、お客さまに心の奥で「翠嵐やイラフに来てよかった」と感じていただきたいのです。最終的には我々がコンセプトとしている「翠 SUI」、つまり混じり気のないものに対して一つひとつ丁寧に彩りを加え、それぞれのお客さまに合った色も付けていきたいと考えています。カスタマイズではなく、無=何もないところにそれぞれのデスティネーションに合わせた彩りを加え、お客さまの感じた色を残していただけるホテルを展開していくということです。
塩川:お客さまの人生のキャンバスに「翠 SUI」を残したいということですね。
河本:「翠 SUI」はまだ立ち上がったばかりのブランドですが、弊社がこれから展開していくラグジュアリーのホテル同士がつながりを持てる状態を実現したいとも思っています。一つひとつのプロパティの彩り、味、見た目、コンセプト、特徴的なデスティネーションなどが、ブランドの中ですべてつなぎ合わせられている状態を「ラグジュアリーデスティネーションネットワーク」と説明して、それを体現できるのが「翠 SUI」ブランドであると定義しています。もうひとつの深い目的としては、その土地に建っているホテルだからこそ出来ること、そこでしか体験できないことをお客さまに提供してまいりたいですし、お客さまにはそれを新たな発見だと感じていただきたいと思っています。
塩川:お客さまに、何かその土地ならではのインスピレーションを与えるきっかけになればということですね。ラグジュアリーという名を持ちながら、決してとっつきにくい場所ではなく、温かいブランドであることがよく分かりました。本日はありがとうございました。
写真:徳山 耕平 / 文:佐藤 里菜
翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都 総支配人
河本 浩
1970年生まれ。1997年渡米。米国の大学で観光業、ホスピタリティ経営学を学びながら、ホテルオペレーションに従事。2003年に帰国後、内外資のホテルで研鑽を積む。ウェスティンホテル仙台、東京マリオットホテルの総支配人を経て、2015年より翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル 京都の総支配人を務める(2019年2月28日時点)。
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