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「食べる」が原点の料理旅館

篠塚:やはり鈴木社長がおっしゃるように、担当制で接客することで外資系のホテルでもマネできないようなサービスを提供でき、お客様は浜の湯に来るたびに満足度が上がっていくということですね。一方で、担当制ながら合理的な運用をされている印象も受けます。

鈴木:すべてのスタッフが高いレベルで担当制ならではの接客をできているかと言ったら、当然難しいわけです。コツコツと精度を高める努力をしていかなければなりません。料理にしてもそうですね。顧客カルテを元にして、そのお客様にしか対応しない料理のあり方というのをもっと極めるべきだと思っています。ただ、それは50室を超える旅館では難しいとおっしゃる旅館の経営者もいらっしゃいます。しかし、私は50室を超える旅館でも温かい料理を温かいままご提供することは不可能ではないと思っています。それを極める1つの手段として、新たに厨房を約1億円かけて改装します。

食べるお宿 浜の湯 食べるお宿 浜の湯 食べるお宿 浜の湯

篠塚:今回の厨房の改装では、料理の部屋出しのための利便性を上げる仕組みが施されるのでしょうか。

鈴木:料理はより提供しやすくなるし、質も上がります。例えば、舟盛りをストックできる巨大な冷蔵庫を作ります。捌いたばかりの伊勢海老を盛り付けの最後に乗せて、動いている状態でお部屋で提供する。そうしたことも今までよりスムーズにできるようになります。また、各パントリーに温蔵庫をしつらえて、保温が可能で食材のうまみも失われない料理を保管しておくことで、それ以外の保管ができない料理のレベルを上げて、ご提供直前に後出し料理として作ることができるようになります。

篠塚:東京の高級料理店がいくらお金を出してもできないような、伊豆ならではの料理を提供されることも重要ですよね。

食べるお宿 浜の湯

鈴木:やはりお客様には美味しいものを食べていただきたいですね。例えば、稲取の港では季節によって小アジが釣れるときがあるのです。稲取の人は、それを軽く揚げて食べるのですね。都会でも出しているお店はがあるのですが、新鮮さは稲取が勝ります。一般的な東京の割烹とは違う、旅館らしい特徴のあるものを季節ごとにご提供すれば、喜んでいただけるだろうと考えています。この地で獲れる魚の品質に関しては、どこにも負けないと思っています。足の速い魚は水揚げ当日にしか刺身では食べられませんから、そういう魚は東京では出まわりませんが、この場所なら提供することができるのです。獲れる量は日によって差はありますが、仕入れられるだけ仕入れたい。そして、ここでしか食べられないものをお客様にご提供したいですね。

篠塚:それが先ほどもおっしゃっていた、リピーターのお客様にとっての価値につながるのかもしれないですね。急遽獲れた魚をご提供してみたら、それまでの来館時とは違う驚きがあったりなど。

鈴木:お客様へのアンケートに「あの時期に食べたあの魚が美味しかった」と書かれていれば、その方がまた同じ時期に来られたら、同じ魚を予め仕入れておいて、絶対またこのお客様にご提供しようとなるのです。浜の湯はもともと魚が自慢の小さな釣り宿で、お客様は「また泊まりに来る」ではなく「また食べに来るから」とおっしゃっていた。それが「食べるお宿」として、今このように料理を提供することの原点です。

食べるお宿 浜の湯 代表取締役社長 鈴木 良成

食べるお宿 浜の湯 代表取締役社長 鈴木 良成

鈴木 良成

1964年、静岡県出身。当時釣り宿(民宿)だった「浜の湯」の長男として生まれ、大学卒業後2年間、山形県の「観松館」にて旅館業の修行を積む。その後「浜の湯」へ戻り、1995年(22億円)、2002年(6億円)、2007年(8億円)、2010年(3億円)の設備投資などを通じて施設の拡大に寄与。2008年より代表取締役社長を務める。

Ryokan HAMANOYU

Ryokan HAMANOYU

静岡県 > 東伊豆

名物・稲取金目をはじめ、新鮮な魚介類を余すところなく提供する「食べるお宿」。目の前の海を眺めながら、美食を味わえる一軒です。