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ファンに慕われる宿を目指して

篠塚:ここまで過去、現在のお話をお聞きしてきたのですが、これから先についてはどのようなイメージをお持ちですか?

食べるお宿 浜の湯食べるお宿 浜の湯

鈴木:今の形を崩さずに、と考えています。露天風呂付き客室と一般客室の比率については今が一番バランスがよいのですが、老朽化はしていくので、タイミングにあわせて設備投資をして商品価値をしっかりと上げていこうと思っています。一般客室については改装しながら商品力を上げていくのと同時に、タイプ数を増やして宿泊の選択肢を増やしていきたいですね。そうして、施設の部分ではリピーターのお客様に主眼を置いて、飽きられることのないよう設備投資はこれからもしていきます。あとは、次回の設備投資でバー・ラウンジが新たに設置されますが、そこではリピーターのお客様に無料でアルコール類などを提供します。

篠塚:リピーターのお客様限定になるのですか?

鈴木:チェックインから夕食が始まるまでの18時までの間は、リピーターのお客様限定の時間帯を設けます。今まで以上にリピーターのお客様の満足度を上げるための施設、そして仲居さん以外のスタッフもファンづくりができる場所を目指したいのです。通常は、無料で飲食ができるスペースにはスタッフを配置しませんが、敢えてスタッフを配置します。そこにいらっしゃるお客様は何度もリピートしている方なので、そのお客様と仲居さん以外のスタッフとの接点をそこで持たせてあげて、仲居さんとは違った方法で自分のファンをつくらせてあげようと思っています。

篠塚:これからの未来、変えることや新たに挑戦していかれることはたくさんあるものの、きちんとファンづくりをしていくという根幹は一切変わらないということですね。

鈴木:自分を慕ってくれるお客様が年に何人いらっしゃるか。それによって自分の気持ちというのは大きく変わります。だから、スタッフには「自分にもファンがいる」という経験をさせてあげなければかわいそうだと思うのです。旅館というのはリピーターのお客様なしでは成り立ちません。リピートしてくださるお客様が多ければ多いほど、スタッフは気持ちよく接客ができますので、それを実現できる場所をつくってあげたいですね。

篠塚:「自分のファンになっていただけるような接客を」ということですが、おもてなしの自由度というのは広く設けていらっしゃるのですか?

鈴木:それぞれの接客サービスについて支配人に確認しなければならないというようなルールは、一切ありません。例えば、自分にしかできない接客としてメッセージカードを極めているスタッフもいます。一方で、文章を書くのが苦手なスタッフには、メッセージカードでなくとも自分らしい思いの伝え方を考えて接客すればいい、それがほかの人と違えば違うほど、お客様は君のファンになるからと言っています。接客の中に自分らしさを表現して、ファンづくりをする。それが接客の醍醐味ですよね。それを叶えられる場所であり続けたいと思っています。

篠塚:旅館によっては、設備だけ整っているけれどサービスが追いついていないというケースを見かけることもありますが、浜の湯の場合には、ここでしか食べられない料理を提供されていたり、旅館文化を踏襲しながら接客レベルを高められているという一貫した姿勢を感じることができました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

食べるお宿 浜の湯

写真:田中 和広 / 文:宮本 とも子

食べるお宿 浜の湯 代表取締役社長 鈴木 良成

食べるお宿 浜の湯 代表取締役社長 鈴木 良成

鈴木 良成

1964年、静岡県出身。当時釣り宿(民宿)だった「浜の湯」の長男として生まれ、大学卒業後2年間、山形県の「観松館」にて旅館業の修行を積む。その後「浜の湯」へ戻り、1995年(22億円)、2002年(6億円)、2007年(8億円)、2010年(3億円)の設備投資などを通じて施設の拡大に寄与。2008年より代表取締役社長を務める。

Ryokan HAMANOYU

Ryokan HAMANOYU

静岡県 > 東伊豆

名物・稲取金目をはじめ、新鮮な魚介類を余すところなく提供する「食べるお宿」。目の前の海を眺めながら、美食を味わえる一軒です。