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「みなかみ」への想いと「別邸 仙寿庵」の未来

塩川:別邸 仙寿庵の今後の展望をお聞きかせください。

久保:旅館の使命は「非日常」と「明日への活力」だと思っていますので、みなかみの自然環境や風土を活かしたものづくりをしていきたいと考えています。例えば、雪国というひとつの文化の中で、雪国の歴史を学んだり、雪国の食を提供するなど、地域や文化性をもう少し掘り下げて旅館の中に取り入れていきたいと思っています。新しくなにかをつくるというよりも、ひとつの幹をもっと太くするということです。現在の旅館業は人材不足ですので、教育、待遇などをより良くしてまず定着をしてもらい、地域に馴染んでいけるようにできたらとも思っています。

別邸 仙寿庵

塩川:お話をお聞きしていると、みなかみという土地に対する感謝の気持ちや、スキーで経験されたことが別邸 仙寿庵の根幹にあるなと感じます。

久保:実は、まだ実現できていないことではありますが、スキーを通じてお客様とともにこの土地に触れるという企画を考えているのです。近くのスキー場をご案内したり、一緒にこの地域を歩いたり、そういったことをしたいですね。また、みなかみは関東の水瓶とも言われておりますので、「水」でなにかを表現していきたいとも考えています。

塩川:これまでの旅館業の経験を通じて、お客様とのエピソードや忘れられない思い出はありますか?

別邸 仙寿庵

久保:ドイツ人のお客様が来られた際に、つたない英語と身振り手振りで接客をしたのですが、お客様が帰られるときに「本当に感動した」とおっしゃって、ご自身のバッグからビスケットを渡されたことがありました。それは、お互いに言葉が分からないながらも心が通じあったからで、そういったところが旅館の楽しさでもあるなと思うのです。他にも、オープンしたての頃から毎年来てくださる常連のお客様もいらっしゃったり、お客様と一緒に谷川岳や尾瀬に行ったりしたこともありましたね。

塩川:お客様の楽しみ方に合わせて一緒に活動されたりだとか、あまりタッチをせずに過ごしてくださいということもあれば、そこは思い思いの時間を過ごしていただくということですね。

久保:そうです。そうしたシチュエーションをつくれるよう、周りの環境を活かしていけたらと思っています。

塩川:小さい頃にスキーに出会い、周りの方から与えられたきっかけの中で楽しみを見つけて頑張って来られたという経験が別邸 仙寿庵の礎となり、これからの展望につながっていくのだなと感じました。また、スキーで培った精神は仕事に通じるところがあるのではないでしょうか。

久保:なにも考えずに度胸だけで動くという部分ではそうですね。なにごともそうですが、お客様からお呼びがかかればすぐに駆けつけることが重要ではないかと思うのです。考えるよりもまず動くことですね。スキーのジャンプでもそうですが、一発目は怖くとも、スタートしてしまえば止まることはできないわけですから、それは心を据えてやるしかないですね。また、スキーはお金がかかりますので、学生時代には色々なアルバイトをしていて、当時の仕事には何の楽しみもなかったのですが、そうした環境の中からも自分で楽しみを見つけていくしかないのです。今では、自分が楽しいものは何だろうと思ったときに、スタッフの笑顔や、お客様からかけられる「また来るよ」のひと言だと思えるのです。

塩川:幼少期からはじめられたスキーでさまざまな経験をされ、それが現在の旅館業に活きているということが、はっきりと伝わってきました。とても貴重なお話をお聞きすることができました。本日はありがとうございました。

別邸 仙寿庵

写真:田中 和広 / 文:宮本 とも子

別邸 仙寿庵/株式会社旅館たにがわ 常務取締役 久保 英弘

別邸 仙寿庵/株式会社旅館たにがわ 常務取締役

久保 英弘

1971年、群馬県みなかみ町出身。幼少期よりスキーを始め、2001年にはフランス・バルトランスで行われた世界選手権とスイスで行われたワールドカップに出場。大学卒業後、食品卸の会社に入社。退職後、旅館業を継ぎ現職。

Bettei Senjyuan

Bettei Senjyuan

群馬県 > 水上・月夜野・猿ヶ京・法師

群馬県、みなかみに佇むルレ・エ・シャトー加盟の宿。美しい自然、しつらえ、湯、食…そのすべての融合を愉しめる一軒です。