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内なる泉を思い出す場所として

塩川:それから、二期倶楽部の構想がはじまったのですね。

北山:そうですね。当時はスキー場に行けばスキーリゾート、海に行けば海浜リゾート、そして旅館もありました。ですが、旅館は若い人たちが行くには敷居が高い印象もあったのです。海浜リゾート、スキーリゾートになるとサイズが大きいですし、ある特定の目的のために訪れるものですよね。都会で働いている人たちがちょっと足を伸ばしてゆったりできる、別荘のような小さなお宿というのがその当時はなかったのです。

塩川:旅館やリゾートホテルという位置づけとは違ったものを考えられたのですか?

二期倶楽部

北山:はい、まさに従来の旅館やホテルとは違う、もっと気楽に頻繁に訪れることができる愛らしい宿を目指しました。それが、和風旅館のあたたかみとやさしさを持ちながら、ホテルのような機能性も持った新しい第三の宿というコンセプトです。素人目線で「自分が欲しい」というものを詰めてできあがったのが、二期倶楽部のハードやソフトなのです。浴衣ではなくパジャマやルームウェアをご用意したり、自分なりに欲しいものを突き詰めた結果、大変ユニークなものができました。

二期倶楽部

塩川:そうした欧米風ともいえる発想はどのようなところからきているのでしょう。北山さんの「これまで」に原体験があるのでしょうか。

北山:「北山さんの美意識の源はなんですか?」と本当によく聞かれるのですが、人間というのは美しいものを見たら美しいと感じる心、正しいものを正しいと思う判断力、見えないものを見ようとする心持ちを誰しもが持っていると思うのです。私だけでなく、みんな同様に持ちあわせているのですよ。ただ、それらを自分自身で大切に育んできたかどうかで、それが開花するか否かが変わるのではないでしょうか。

塩川:そうした本来持っているものは、時代の流れの中で忘れてしまうこともあれば、より意識するようになるものなのかもしれませんが、北山さんはご自身の中で大切にされてきたのですね。

北山:数学者の岡 潔は、人の中心は情緒であり、その調和が損なわれると人の心は腐敗すると説いています。日本人ははっきりとした四季の移り変わりの中で美意識を育んできた稀有な民族ですし、私が幼いころは、東京にもそんな自然がまだ多く残っていました。だからこそ、今、あえて都会から離れて自然の中に身をおいて、自分の内にある豊かな泉と向き合うことが必要なのだと思っています。都会を離れてリゾート地に来た全員が変わるわけではなくとも、少しゆったりした時間の中で自分を回復していくということが大切なのではないでしょうか。故郷がない人でも、原風景、心の故郷はあるのですから。

株式会社二期リゾート 代表取締役/二期倶楽部 総支配人 北山ひとみ

株式会社二期リゾート 代表取締役/二期倶楽部 総支配人

北山ひとみ

東京都出身。1980年、株式会社栄光の創立に携わり、経営企画室取締役・第二事業本部長を経て1986年に「二期倶楽部」を開業。その他、長期滞在型レジデンス「アート・ビオトープ那須」、東京・千鳥ヶ淵のライブラリーカフェ「ギャラリー册」の運営のほか、2014年より「千本松・沼津倶楽部」のホテル運営受託事業を手掛ける。