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苦難の先に見えた、自分自身の理想

二期倶楽部

塩川:二期倶楽部として歩みを進めてこられて、苦労もたくさん乗り越えて来られたと思うのですが、どんなことが印象に残っていますか?

北山:バブルの崩壊からリーマン・ショックまでを経験し、その傷も癒えぬままに2011年3月11日の大震災が起きました。こうした困難のなかで二期倶楽部の稼働率は低下し、経営を圧迫しました。さらに、離婚した元夫が2008年に栄光ゼミナールの社長を退任したのですね。その直後から新しく入ってきた大株主の方々は一般株主の利益を優先し、経営の効率化という理念のもとで非効率なものを削り、本業の塾ビジネスだけに特化していく方針を掲げたのです。このようにあまりにも急な方針の変更は、創業者としてついていけるものではなく、その軋轢は人生で最も苦しいものでした。グループの象徴として二期倶楽部を育ててきただけに、悔しさも重なり、とても複雑な思いでしたね。

塩川:だからこそ、自分らしさや理想を具現化されようと思われるようになったのですか?

北山:様々な「抗えないもの」を見たことで、逆に次の21世紀の有り様といった本質的なところまで思いを馳せることができ、自分の理想は何かというのも一層はっきりと見えてきました。ホテルは文化のショーケースとも言われているほどですが、経済の荒波を凌駕できるのは文化だけです。文化資源を経営の中心に据えてマネジメントしてきただけに、やり残した夢がある、こんな時代だからこそ倒れてはならない、と強い意志を持って立ち直りました。

塩川:その間、二期倶楽部と北山さんを支えてくださったのは、やはりお客様だったのでしょうか。

北山:今年で丸5年が経ちますけれども、2011年に福島の原発問題がありながらも多くの常連の方たちにお越しいただけたことは、とてもありがたく感じています。今でも私の心の支えになっていますね。今では栃木県は原発の風評問題は収束しましたので元通りになっていますが、稼働は完全には回復していません。こうした大きな出来事があると、ライフスタイルや消費傾向がゆるやかに変わっていくように思います。もちろん数年で時代を読むということはできないのでしょうけれども、もっと先に振り返ったときに、日本人にとって3.11というのは価値観の大きな転換点であったというふうに回想するのではないでしょうか。「進みながら強くなる」というバルザックの座右の銘もありますが、苦しい経験を乗り越えてこそ、人は成長するものなのですね。

株式会社二期リゾート 代表取締役/二期倶楽部 総支配人 北山ひとみ

株式会社二期リゾート 代表取締役/二期倶楽部 総支配人

北山ひとみ

東京都出身。1980年、株式会社栄光の創立に携わり、経営企画室取締役・第二事業本部長を経て1986年に「二期倶楽部」を開業。その他、長期滞在型レジデンス「アート・ビオトープ那須」、東京・千鳥ヶ淵のライブラリーカフェ「ギャラリー册」の運営のほか、2014年より「千本松・沼津倶楽部」のホテル運営受託事業を手掛ける。