塩川:今後の展望についてもお伺いしたいのですが、会社としてどのような展開を考えていらっしゃるのでしょうか。
金谷:まず、リゾート経営は主軸としていきたいですね。2020年までに関東近県であと200室を作っていきたいと考えています。また、現在は東京を中心にショコラトリー「JOHN KANAYA」を展開していますが、チョコレートを切り口にした物販のプロフェッショナルな会社になっていきたいとも思っています。その後はバーや飲食店の展開も構想としては持っています。さまざまな形で私どものブランドを発信し、触れていただくことが大切だと考えています。
塩川:ショコラトリー「JOHN KANAYA」のお話がありましたが、ブランドパーソナリティとされているおじいさま、ジョン金谷鮮治氏についてはどんな思いがありますか?
金谷:祖父は私が4歳のころに亡くなっていますが、立教大学の観光学科、ホテルニュージャパン、札幌グランドホテルを興すのを手伝っていた人物で、パイオニア精神が強い人だったと思っています。私が小さい頃、足の形が悪くなるからと編上げのブーツしか履かせてくれなかったなど、とてもおもしろいエピソードを持つ人でもありました。また、私が生まれたときにはモーニングにシャッポ-をかぶって病院に駆けつけ、英語で「Nice to meet you, How do you do? Shake hand」と語りかけたそうですので、今いたら本当に楽しいだろうなと思いますね。
塩川:「金谷ブランド」の展開には、とても素敵だったおじいさまを忘れてほしくない、という気持ちもあるのではないでしょうか。
金谷:鬼怒川金谷ホテルのダイニングには「ジョンカナヤ」と名がついていますが、鬼怒川金谷ホテルというブランドの中にジョンカナヤがWブランドとして存在するのは、まさに「忘れてほしくない」という気持ちからです。ブランドパーソナリティとしての「ジョン金谷鮮治」という人の雰囲気をつくることは、私たちにしかできないことです。それを社員間でも共有していきたいですね。そのほかにも、祖父が存命の当時はジョニーウォーカー専門のバーを運営していたなど、まだまだ私たちが発信しきれていない様々なエピソードもあります。それをストーリーにして新しい形でみなさんにお伝えしていきたいと思っています。
塩川:それらを踏まえて、今後はどこを目標に進んでいかれるのでしょうか。
金谷:会社自体は今年で85周年になるのですが、現在は「100年企業」を目指して、「老舗は常に新しい」を社是に掲げ、クレドとして「伝統とは革新の連続で作られる」、「真義は利なり」、「誠心誠意」といった言葉を社員全員で共有しています。そして、100年企業になる2031年、今から15年後にどういう企業になっているかといえば、旅館業はもっと変わっているだろうと思います。私たちの業界の常識という枠を超えていかないと続かないのではないかなと思いますね。
塩川:お客様との関わりに関しては、業界の常識にとらわれずに100年続く会社をやっていきたいということですね。
金谷:はい。事業再生に入ったときに一度は会社がなくなりかけていたわけです。私たちが行っていくことは、これからの15年を社員とともにしっかりと形づくることだと思っています。
塩川:おじいさまのパイオニア精神を受け継ぎ、「金谷ブランド」を支えていらっしゃる姿勢は、大変興味深いものでした。本日はありがとうございました。
写真:田中 和広 / 文:宮本 とも子
金谷ホテル観光株式会社 代表取締役社長
金谷譲児
1973年生まれ。大学時代をスイス・アメリカで過ごし、THE KITANO HOTEL NEW YORKにてホテル・マネジメントを学ぶ。2001年に帰国し金谷ホテル観光株式会社に入社。2008年に鬼怒川金谷ホテルの総支配人に就任後、2011年3月より現職。
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