地域の魅力と醍醐味を愉しめる名宿と、凄腕料理人がコラボレーション。その地から着想を得た特別な料理を振る舞う、期間・組数限定の特別な宿泊プラン「Inspire by Relux」が9月3日から5日の3日間、群馬県みなかみ町の別邸 仙寿庵にて開催されました。日本百名山のひとつ谷川岳山麓で行われたスペシャルなこのイベント、その詳細をお伝えするレポート後編です。
この時しか味わえない、パリとみなかみのコラボレーションメニュー
【五感で体験する、自然の「恵み」】というテーマのもと、旅と食のスペシャリスト本田直之氏がプロデュースした「Inspire by Relux」。
今回は、群馬県みなかみの日本旅館、別邸 仙寿庵で、パリの一つ星レストラン「Restaurant PAGES(レストラン パージュ)」の手島竜司オーナーシェフが、この日のためだけの特別なディナーをご用意しました。
食事は個室で、ご宿泊者ごとにプライベートに楽しめるのが別邸 仙寿庵のスタイル。周囲を気にすることなく、自分のペースで自由に味わうことができます。今回のコースは9品、そのうち8品にペアリングのドリンクをご用意しました。
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手島氏が「チャレンジングだった」と語るのが、この「鰻とブリオッシュのコンテチーズソース」。
「鰻を手で食べられるメニューはできないか」と、別邸 仙寿庵の料理長の富岡氏と共同で作り上げた1品です。天然に近い状態で養殖されている鹿児島の「泰斗商店」の鰻に、バターをたっぷり含んだパン、ブリオッシュをあわせ、表面には水分が少なく旨味がたっぷりつまったコンテチーズが。チーズの塩味と鰻の旨味が染み込んだこのブリオッシュに魅了される人が続出しました。
これに合わせるのは、日本酒の一種である貴醸酒「仙禽オーガニックナチュール 2022 貴醸酒」。無農薬で栽培された古代米からできていて、アルコール度数が14%まで下げられているので、味わいは実にクリア。温かい鰻と、キリリと冷えたこの貴醸酒のコントラストでさらなる食欲をそそります。
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こちらはパリのレストランでも人気のオマール海老を、ゲストの目の前で檜の葉でいぶして香りをつけた「オマールエビのすべて 檜の香り」。別邸 仙寿庵のキッチンスタッフと、手島シェフが前日に檜の葉を摘みにいって完成したものです。
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「地元野菜のサラダ」は、その名の通り、手島シェフがみなかみの農家をめぐり、新鮮な野菜を数々入手し、さらに別邸 仙寿庵周辺の山で野草を摘んで完成しました。「その土地のものだけで表現をしてみたかったんです。別邸 仙寿庵の料理スタッフにも、どこにどんな野草や野菜があるなどいろいろ教えていただき、選りすぐってできあがりました」(手島氏)
オクラやフルーツトマト、オリーブといった野菜にパリから持ち込んだビネガー、オリーブオイルで味付けされています。シンプルながら、素材の味が最大限に活かされたサラダでした。
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そしてガーデンでじっくり8時間焼かれた豚がここで登場。「特別肥育の子豚のロティ」です。手島シェフが摘んできたニラの花と、キャベツ、みなかみで育った雪割茸が添えられています。豚は、焼き上がりの3時間ほど前から、手島シェフの地元である熊本の「赤酒」が幾度も塗りこまれて、深い味わいと香りを纏いました。
この肉に合わせる赤ワインはドメーヌ「アンベルール・フレール」の「ジュヴレ・シャンベルタン プルミエ・クリュ ポワスノ 2014」。繊細な果実感が、やわらかい仔豚の身質と絶妙なハーモニーを生み出していました。
ディナー後半にもさらなる驚きが待っていた
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ディナーの後半、料理の〆として登場したのは、なんと「トリュフTKG」。オーストリア産黒トリュフがふりかけられたご飯の上に、さらにトリュフバターをのせて溶かしたら生卵を落として、極上の卵かけご飯の完成です。やまわさびとトリュフの香りたつスープと共にサーブされました。
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ここまでですでにお腹は十分に満たされているけれど、甘いものは別腹。デザートは「生姜風味のマンゴーライムのソルベ」です。これはパリの「Restaurant PAGES(レストラン パージュ)」でも提供されているデザートです。 「実は現地のパティシエも一緒に連れてきたかったのですが、まだ渡航が難しかったので、今回はそのパティシエのぶんまで気持ちを込めてお出ししました」(手島氏)
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「たくさんの料理を召し上がって、満腹になって最高の空間で眠りについてほしい」という本田氏の狙い通り、食後は多くのゲストが満腹満足で、眠りに落ちていきました。
けれどもまだまだ実は夜はこれから。「それでも、もうちょっと楽しみたいという方のために」と、ライトアップされたガーデンで、本田氏と手島シェフ自らがバーテンダーに変身して、なんとバータイムを開催。本田氏はハイボールを、手島シェフはクラフトジンを使ったジントニックを振る舞い、夜風にあたりながらゲストともに楽しみました。
朝ご飯だって、もっと自由であっていい
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「宿泊先で『朝食は何時にいらっしゃいますか?』と言われるのがいつもプレッシャーで。好きな時間にふらっと行けて、好きな場所で食べていい、そんなことができたらいいなと思ったんです」(本田氏)
その本田氏の言葉通り、翌朝の朝食はガーデンの前で、選りすぐりのメニューをピクニックバッグに入れた形でご用意しました。
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部屋に持ち帰ってゆっくり味わう方、ガーデンのお気に入りの場所に腰かけて、ピクニック風にいただく方と、朝の時間は自由にひとぞれぞれに朝食を満喫されていました。
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「Inspire by Relux」をきっかけに、名宿はもっとパワーアップできる
こうしてスペシャルな1泊2日が終了。最終日の朝には、別邸 仙寿庵のメンバーが手島氏を囲みともに労を労っていました。
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「私がパリでやっていることは、日本人のアイデンティティを、その土地の食材で表現するということ。それを改めて日本の地、ここ群馬の食材を中心に日本全国の食材を使って行ったということです。土地と食材が変わっても、やっていることは同じなんですよ。そして今回使ったことのない厨房で、初めてご一緒するキッチンのスタッフの方と、一気に約40名分のディナーをご用意することはとても大変なことだと思ったのですが、実際はみなさんとても丁寧にそして一生懸命動いてくださり、自分でも素晴らしいものをお出しすることができたと思っています、達成感を感じていますよ」(手島氏)
そう手島シェフが言うように、今回のイベントは別邸 仙寿庵にとっても大切な経験になったと、別邸 仙寿庵/旅館たにがわの久保社英弘社長は語ります。
「私たちだけにしかできないことはなにか。常にそう考えていましたところ、本田さんに『この自然をもっと活かしたらいい』と言っていただき、ガーデンでのアペリティフや朝食が実現しました。ああ、こういうことができるんだ、ととても刺激的でしたね。調理のスタッフも普段は和食を中心に扱っておりますが、今回全員が手島シェフのお料理を試食することもでき、とても学びになりました。これをきっかけにより、『私たちにしかできないこと』に磨きをかけ、パワーアップできるのではないかと感じています」(久保氏)
そして本田氏も、達成感とともに次回に向けてさらなる期待を高めていました。
「こんなに素晴らしいプライベートサウナがこのタイミングで完成し、そして手島シェフの料理も素晴らしいものでした。ただ1回きりのイベントのための料理ではない、予想を遥かに超える料理を、日本各地の食材を使い表現してくださいました。2019年に佐賀県の御宿 竹林亭で開催した第1回『Inspire by Relux』から、コロナ禍を挟んで3年経ってしまいましたが、次回は時間を空けずに第3回目も準備をしたいと思っています。ぜひ待っていてください」
宿泊体験を変える、名宿と凄腕シェフのコラボレーション。次回の「Inspire by Relux」もご期待ください。
住所 | 〒379-1619 群馬県利根郡みなかみ町谷川614 |
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電話番号 | 0278-20-4141 |
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