“どんな未体験に泊まろう。“を生み出す特別プラン「Inspire by Relux」を別邸仙寿庵で開催〜前編〜

2024年10月14日

地域の魅力と醍醐味を愉しめる名宿と、凄腕料理人がコラボレーション。その地から着想を得た特別な料理を振る舞う、期間・組数限定の特別な宿泊プラン「Inspire by Relux」が9月3日から5日の3日間、群馬県みなかみ町の別邸仙寿庵にて開催されました。日本百名山のひとつ谷川岳山麓で行われたスペシャルなこのイベントの模様を前後半構成でお伝えします。

別邸仙寿庵と、パリの一つ星レストランの出会い

上越新幹線上毛高原駅から、迎えの車で約25分。豊かな緑の中を進むと辿り着くのが別邸仙寿庵です。1000坪の土地にわずか18の客室、宿の中央にあるガーデンからは雄大な谷川岳と、限られた地域にしか自生しない希少な花々を眺めることができる静かな場所です。合計36組のみが楽しむことができた今回の特別プラン。訪れた人々は、前夜の雨に濡れて輝くキンミズヒキやヤマホトトギスといった夏の花に出迎えられ、それぞれの部屋へと案内されていきます。

年間のほとんどを海外で過ごし、世界の美食と名宿をめぐってきた旅のスペシャリスト本田直之氏がプロデュースを手掛けるこの「Inspire by Relux」。みなかみの雄大な自然に惚れ込んだ本田氏が、別邸仙寿庵とのコラボレーションに指名した料理人は、フランス、パリの一つ星レストラン「Restaurant PAGES(レストランパージュ)」の手島竜司オーナーシェフです。

「手島さんはパリに渡って、いったんシェフのキャリアをストップし現地の魚屋さんやお肉屋さんで働いていたこともある面白いキャリアを持つ方です。素材の良さをとことん追求する手島さんが、このみなかみの地でどんな料理を作るのか、味わってみたいと思いました」（本田直之氏）

到着したゲストの目にまず飛び込んできたのは、広いガーデンの一角で、じっくり炭火で焼かれている仔豚。この仔豚は手島シェフが選んだ三重県の菰錦豚という種類で、生育状態のよい上位5%の豚を徹底的に磨き育て、甘味の強い肉に仕上げたものです。手島シェフからの依頼を受け、ファームがこの日のために育て上げた、とっておきの1頭がディナーまでの8時間、ガーデンでじっくりと焼かれました。

「パリの私の店では、子羊やジビエ肉などを提供しています。同じように繊細な肉料理を今回ここでお出ししたいと思い、この豚ならと、ファームにお願いしたんです。みなかみの町を巡っている際に知り合った猟師で料理人の方が、お肉の扱いにとても長けていて、『ぜひ2日間肉を焼いてくれないか』と急遽お願いし、1日8時間にわたるガーデンでの肉の焼きの管理をしていただいたんですよ。おかげで素晴らしい肉が焼けました。この町の人との出会いひとつひとつが、今回のプランに反映されています」（手島竜司氏）

さりげないおもてなしと、谷川温泉の湯に癒される

香ばしい匂いのするガーデンを通りすぎ、ゲストたちは部屋で思い思いの時間を。本田氏は今回のイベントを「日本旅館のおもてなしに、自由さをプラスしたもの」にしたかった、と語ります。

「宿泊体験を変える、というのが今回のテーマです。私は世界を旅するなかで、スタッフとお客さんの距離が近い日本旅館のおもてなしは素晴らしいと感じるようになりました。一方で、高級旅館でももっとフランクに自由に楽しめる日もあっていいのではないか、そう思って今回、別邸仙寿庵にご協力いただいたんです」（本田氏）

リピーターも多いここ別邸仙寿庵では、チェックインの際にゲストがスタッフとの再会を喜び、会話に花が咲くことも多くあります。スタッフとの会話を楽しみながら、ゆったり座ってのチェックインも、日本旅館ならではのおもてなしのひとつかもしれません。

その近い距離感を大事にしつつも、今回の「Inspire by Relux」にはさまざまな「自由な仕掛け」が用意されています。ふだんは厳かに谷川岳を望む庭園で、仔豚がいい香りを振り撒いている、というのもその演出のひとつでした。

部屋に入ったら、さっそくお風呂を楽しむゲストたち。客室にそれぞれ備え付けられた露天風呂のほかにも、時間で男女入れ替えの2カ所の大浴場があり、露天風呂では緑を眺めながらゆっくりと温まることができます。

江戸時代より人々に親しまれてきた谷川温泉、ここ別邸仙寿庵の湯は肌に優しい低張性弱アルカリ性温泉。また大浴場にはそれぞれサウナもあり、水風呂も、温泉を冷やした水が使用されています。

さらに露天風呂の横にはそれぞれ外気浴スペースも設けられているので、温泉やサウナで温まったら、谷川の清流と緑の新鮮な空気でクールダウン。ここで深いリラックス体験をしたゲストたちも多くいたようです。

この地だからこそ愉しめる最新サウナが誕生

そして実はこの日は、別邸仙寿庵に新しいプライベートサウナが完成、そのお披露目の日でもありました。「もともとあるサウナもとても好評をいただいておりましたが、さらにここにしかないオリジナリティを表現できるものはないかと、この自然を利用したプライベートサウナを作りました」（別邸仙寿庵／株式会社旅館たにがわ代表取締役社長の久保英弘氏）

川べりに新しく建てられた４人ほど入れる完全予約制のこのプライベートサウナ、大きな窓から清流と緑を眺めながら、温まることができます。さらに川辺に降りれば、天然の風で外気浴ができるスペースも。

きりっと身体を冷ましたければ、そのまま敷地内、目の前の天然の川に水風呂代わりに浸かることもできる、最高なととのう仕掛けもあります。もちろん、通常の水風呂も用意されているので、雨天時や川の流れが早い時はそちらに。また、このサウナは中庭から坂道を下って行くため、安全面が考慮され、16時30分以降と飲酒後は使用不可となっています。日が暮れる前にこのサウナをたっぷりと楽しみ、川で童心に返るゲストたちの笑顔が見られました。

部屋で過ごす時間も、もっと自由に。お部屋置きの飲み物にもこだわりが

客室はひとつひとつがゆったりと作られ、お庭と離れがあるお部屋、大きな窓の広縁から緑を眺められるお部屋など、それぞれの部屋で個性があるのもこの宿の魅力です。

全室で源泉かけ流しの露天風呂が愉しめるので、部屋でゆったり日々の疲れを癒すのにまさに最適な場所。お部屋を変えて何度も訪れる人も多いそうです。

さらに今回、本田氏と手島氏はお部屋置きのドリンクにもこだわったといいます。「今回のテーマは『自由』ですから、部屋の冷蔵庫の中だって、僕らの好きなもので満たしたい、そういう思いでドリンクも揃えたんですよ」（本田氏）サウナ大国と呼ばれるフィンランドのジンを使ったアルコール飲料「ロンケロ」、ワイン用のブドウ品種を使用したフランスのジュース「アラン・ミリア」、そしてRestaurant PAGESでデザートを担当する手島直子氏の出身地である川越のビール「COEDO」。みなかみの澄んだ水とともに、風呂上がりの喉を、厳選されたドリンクが潤してくれました。