最終更新日時2022/01/24
松島、天橋立、宮島――。日本を代表する絶景は、「日本三景」として愛されてきました。その始まりは、江戸時代の初頭。儒学者の林春斎が日本全国を行脚し、この3つの場所を「日本三景」として定めたといいます。今回は、そんな「日本三景」をひとりじめできる、3ヶ所合わせ7つの絶景宿をご紹介します。手が届きそうな距離で松島の景色を眺められたり、露天風呂から天橋立をひとりじめできたり。趣の異なる7つの宿から好みの宿を探してみてはいかがでしょうか。
①松島/宮城県
出典:PIXTA
松島といえば、「松島や ああ松島や 松島や」という句が有名です。大小あわせて260もの島々が浮かぶ諸島でもある松島は、はるか昔より景勝地として愛され、今では国の「特別名勝」や「宮城県立自然公園松島」に指定されています。その松島を眺めるポイントとして知られているのが、「四大観(しだいかん)」と呼ばれる絶景スポット。それぞれ、「壮観」「麗観」「偉観」「幽観」と名付けられ、松島湾を囲むように東西南北の4カ所に位置しています。
「壮観」大高森 | 東側。標高105.8m。松島湾で最大級の島、「宮戸島」の中央にそびえる山。東に金華山、北に栗駒山、西に松島湾を望みます。 |
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「麗観」富山 | 北側。標高116.8m。杉・松・樅の大木に覆われた山頂の「富山観音」。松島の東南西の三方を一望でき、明治時代には明治天皇も足を運ばれました。 |
「偉観」多聞山 | 南側。標高55.6m。七ヶ浜町の北端・代ヶ崎の断崖にある景勝地。松島の島々にくわえ、塩釜港に出入りする大小の船舶の往来も望みます。 |
「幽観」扇谷 | 西側。標高55.8m。双観山の背後に位置する高地。松島の全景を眺めることができます。 |
この松島で、宿からもその絶景を眺めることができたら・・・。そんな願いを叶えてくれる、「幽観」扇谷のほど近くの宿をご紹介します。
松島にほど近いおすすめの旅館
絶景の温泉リゾート「松島 一の坊」
季節の移ろいを感じることのできる7,000坪の水上庭園と、その先に続く松島の海を望むことができる絶景の宿がここ「松島 一の坊」です。水平線に昇るご来光を望み、ただただゆっくりとした時間が流れています。この宿の魅力のひとつは、ご飲食やアクティビティ、イベント参加などが追加料金無しで楽しめる、オールインクルーシブスタイル。サウナや岩盤浴でデトックスタイムを味わう「庭がSPA」や観光やお出かけに嬉しいレンタサイクル、サンライズをひとりじめできる熱気球フライトなど、幅広いアクティビティを体験できます。館内でゆったりとした「何もしない贅沢」を味わうも、松島の自然を体感できるアクティビティを楽しむも、過ごし方はあなた次第です。
松島一の坊ならではの魅力がお食事にもあります。コースでもない、ビュッフェでもない、お品書きに書いてある一品一品からお好きなものを選び、あなただけのお食事を作り上げる、独自のスタイル。「熱々できたてを美味しくいただいて欲しい」という想いから、おひとり様ずつ料理人が目の前で調理し、出来立てをいただけます。また、ご夫婦やカップル、女子会、おひとり様、ファミリー席など、旅の目的に合わせた座席でお食事をいただけることも嬉しいポイントです。
施設名 | 松島 一の坊 |
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Reluxグレード | グレード2 |
住所 | 宮城県宮城郡松島町高城浜1-4 |
施設の特色 | ・チェックアウトまで財布を気にせず楽しめるオールインクルーシブスタイル ・料理長の厨房で「あなただけのひとさら」をいただける、ここだけのお食事 ・松島湾を眺めながら入ることができる、美容液のようなとろりとした湯 |
② 天橋立/京都府
画像素材:PIXTA
京都府宮津市の宮津湾と阿蘇海をへだてる、「天橋立(あまのはしだて)」。約8,000本もの松が茂るその姿は、天への架け橋のようであるとも評されます。海の間を割って現れたような、不思議な名勝です。そんな天橋立には、「三人寄れば文殊の智恵」で知られる智恩院や、天橋立と文殊堂のある陸地をつなぎ、船が通るたびに90度旋回する廻旋橋などの見所が盛りだくさん。それらを楽しみながら滞在できる宿を3つご紹介します。
天橋立にほど近いおすすめの旅館3選
老舗の風格ただよう文珠荘の別館「文珠荘 松露亭」
「結ぶ縁の深まりに思いを寄せる」をコンセプトに、天橋立の老舗旅館「文珠荘」の別館としてひっそりと佇むのが、木造総平屋数奇屋造りの「文珠荘 松露亭」です。美しい数寄屋造りの佇まいは、京都の名工によって生み出された洗練された「空間」。そこに茶の湯の心を大切に、一期一会でお迎えするという考え方の「人間(じんかん)」、ゆったりと流れる静寂の時を大事にするという考え方の「時間」を合わせて「3つの間」を意識したおもてなしを体験できます。喧騒とは無縁の別世界ーー。そこはまさに大人のくつろぎを追求した空間と言えるでしょう。
「文珠荘 松露亭」自慢の料理は、豊かな自然に囲まれた丹後の山海の幸、旬の食材にこだわり厳選した味覚会席。獲れたて新鮮な宮津産とり貝や岩牡蠣が、お腹も心も満たしてくれ、お食事中の会話も弾むことでしょう。冬には松葉蟹、秋には松茸と、四季折々の山海の幸を満喫できます。
ゆったりと時が流れる天橋立に溶け込むようなこの宿で、お食事との出会い、絶景との出会い、人との出会いを噛み締めながらお楽しみください。
施設名 | 文珠荘 松露亭 |
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Reluxグレード | グレード2 |
住所 | 京都府宮津市天橋立文殊堂岬 |
施設の特色 | ・天橋立の松林や日本庭園を前にくつろげる大人の空間 ・京の名工が手がけた全館総平屋数寄屋造りの客室 ・四季折々の豊かな自然を写し、作り出された京会席 |
5万本のワインが自慢の宿「ワインとお宿 千歳」
ここ「ワインとお宿 千歳」は、江戸時代から続く千歳旅館の面影を残しつつ、天橋立と廻旋橋を間近に望む宿。懐かしさと新しさが共存する、心地よい空間が広がります。宿に着いたら、ゲスト専用サロンへ。チェックイン後は、ウェルカムドリンクで最初の一杯をどうぞ。お部屋の窓から望めるのは天橋立の松の木々や、運河の流れ。そしてお部屋の中には、日本らしい温かみを感じる家具や壁、洋風のランプやステンドグラス。2つとして同じものがないという空間を堪能することができます。
そして、この宿の特徴は、なんと5万本のワインを有するというワインセラー。なぜこんなにもたくさんのワインが眠っているかというと、その秘密は京都産のぶどう100%でつくられるオリジナルワイン「天橋立ワイン」に隠されています。「ワインとお宿 千歳」は、「天橋立ワイン」を手掛けるオーナーの隠れ宿なのです。ワインセラーには天橋立ワインをはじめ、世界中のワインが揃っています。所有しているぶどう畑、系列の「天橋立ワイナリー」での工場見学もできるので、ワイン通にはたまりません。本物の「ワインの宿」へ出かけてみませんか。5万本のワインの中から、「あなたのための1本」を選んでもらい、お部屋でまったりと大人の時間を過ごせます。
施設名 | ワインとお宿 千歳 |
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Reluxグレード | グレード1 |
住所 | 京都府宮津市文珠472 |
施設の特色 | ・オーナー自ら厳選した5万本のワインから、あなたに合う1杯を選んでもらえるサービスも ・旬の素材を活かした、ワインに合うお料理も ・天橋立の松の木々を望む、趣の異なる全7室のお部屋 |
天橋立をひとりじめできる宿「玄妙庵」
日本三景「天橋立」を眼下に、文殊の地・玄妙山にひっそりと佇む、由緒ある民芸風数奇屋造りの「玄妙庵」。木の温もりと優しさに包まれる館内では、やわらかに流れる潮風と自然の吐息がこころに、からだに、そっと語りかけます。天橋立を高台である玄妙案から覗くと目に飛び込むのは、まるで龍が空に舞うかのような「飛龍観」。その躍動感溢れる飛龍観を、客室はもとより大浴場からひとりじめできるのは、ここ玄妙案ただひとつ。まるで海と一体になっているかのような感覚を味わいながら、旅の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。
お部屋はオーシャンビューの17室。どこにいても天橋立を眺めることができる180度パノラマのお部屋や、「最も美しい湾」として認定された宮津湾を一望するお部屋、ハンモックに揺られながら山と海の眺望を楽しむお部屋まで、景色を眺めながら「何もしない贅沢」を味わえる空間が広がります。
玄妙庵のお食事はこだわりが詰まった数々。創業300年の老舗のお醤油や、無農薬米から造られたお酢などの調味料が、吟味された旬の素材の味を一層引き立てます。江戸時代から続く伝統の酒造、向井酒造によるオリジナル冷酒「玄妙庵」とともに、季節感あふれる懐石料理と絶景をお楽しみください。
施設名 | 玄妙庵 |
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Reluxグレード | グレード1 |
住所 | 京都府宮津市字文珠32-1 |
施設の特色 | ・飛龍観を一望する展望露天風呂がある唯一の宿 ・天橋立や宮津湾を望む、和を基調とした心地よいお部屋 ・老舗の深みのある醤油や、無農薬米で作られたお酢が旨味を引き出す懐石料理 |
③ 宮島/広島県
出典:PIXTA
はるか昔から「神々の島」として崇められてきた宮島。特に、海に浮かぶ大鳥居と社殿で知られる世界遺産・厳島神社は、平安時代末期に平清盛の手によって発展し、特別な場所としてその名を知らしめることとなりました。
現在では島全体が「瀬戸内海国立公園」となり、国の「特別史跡」と「特別名勝」に指定されています。1168年創建の厳島神社はもちろんのこと、紅葉谷公園や標高535mの弥山、弥山の麓の大聖院など、観光スポットが多いのが宮島の魅力のひとつ。その中から、紅葉谷公園と厳島神社にほどちかい宿を2つ、さらに宮島の対岸から宮島を一望できる宿をご紹介します。
宮島にほど近いおすすめの旅館3選
創業160年、紅葉谷の老舗旅館「みやじまの宿 岩惣」
「みやじまの宿 岩惣(いわそう)」の創業は、今からおよそ160年前の1854年。もみじ川に橋をかけて渓流に茶屋を設け、道行く人々の憩いの場として開業したことが始まりでした。過去の宿泊者は、皇室の方々、夏目漱石や森鴎外などの文豪、大倉喜八郎や大隈重信などの政経界の要人など、多岐に渡ります。
客室の中でも、特に「錦楓亭」「秋錦亭」「龍門亭」という3つの離れは歴史ある伝統建築です。大正から昭和にかけて造られた1室1棟の平屋建てで、紅葉谷の自然にとてもよく馴染む最高のロケーション。秋には、真っ赤に染まる紅葉を鑑賞することもできるお部屋です。
岩惣には1885年に掘られた井戸があったのですが、先々代の女将はその井戸水について「肌がつやつやする」と評していたのだそう。そこで調査してみると、地下5mの水源ながらラドンを含む温泉であることが分かったのです。ひょんな偶然で発見された温泉は、今も旅人たちに愛されています。
岩惣での旅の楽しみはもうひとつ。国立公園の一部でもある宿の敷地内を自由に歩き回る、「宮島の鹿」たちに出会えるかもしれないということです。鹿に癒され、紅葉谷の自然と一体になるような滞在は、ここ岩惣だけで楽しめる贅沢。お天気のいい日には外を散策してみるのもおすすめです。
施設名 | みやじまの宿 岩惣 |
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Reluxグレード | グレード2 |
住所 | 広島県廿日市市宮島町もみじ谷 |
施設の特色 | ・歴史風情を感じられる、1室1棟の平屋建ての客室 ・ライトアップされた原生林が美しく、鹿を見れることもある、露天風呂 ・国立公園内に佇む、自然を五感で楽しめるロケーション |
宮島のシンボルを一望する老舗「錦水館」
2012年に創業100周年を迎えた、6代まで続いている「錦水館」。「地元のつながりや人との交流の大切さ」を先々代から、「挨拶と、宿をピカピカにすること」を先代から引き継ぎ、宿主様をはじめスタッフにまで想いが浸透している、おもてなしが評判の老舗旅館です。「スタッフの方の気配りがとてもよく快適でした」「サプライズでプレゼントをいただき感激しました」というような声が寄せられており、先代から続いているおもてなしが、心温まるひとときを演出します。お部屋では、穏やかな宮島の海を眺めながら、時間の流れもゆったり。夕刻が近づく頃、うっすらと雲の中に光る美しい夕日のグラデーションをお部屋から一望でき、心が和む優しい時間をお楽しみください。
また、錦水館で堪能していただきたいのが、豊かな土壌で育った有機野菜、瀬戸内海で採れる新鮮な魚介などの旬の食材を使った料理の数々。中でも懐石料理と別に頼むことができる、広島名産・牡蠣。プリプリで、ここまで大きな身の牡蠣は滅多に食べることができません。せっかくの贅沢旅にはもってこいの一品です。また宮島を満喫した翌日は、ヘルシーな栄養満点の朝ごはんで最高の1日が始まります。朝からお腹いっぱい朝食を食べ、もう一度宮島を散策するのもおすすめです。
施設名 | 錦水館 |
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Reluxグレード | グレード1 |
住所 | 広島県廿日市市宮島町1133 |
施設の特色 | ・幅広い客層に愛される多様なお部屋とおもてなし ・しっとりすべすべする、宮島で唯一の天然温泉 ・贅沢旅には外せない、旬の食材をふんだんに使った懐石料理 |
宮島の対岸に佇む「庭園の宿 石亭」
八百万の神々が宿る神秘の異界、宮島。その対岸に佇む「庭園の宿 石亭」は、1,500坪もの日本庭園を構えながらも客室はわずか12室という、この地でも随一の離れの贅沢な一軒です。隠れ家のようにひっそりと佇む元茶室の離れから、お庭・海・空・山を一望する離れ、プライベートな広い露天風呂と書斎が特徴的な離れなど、お好みの離れをお選びください。宮島の絶景だけでなく「庭園の宿」と言われる由来となったこの広大な庭園で、四季折々の姿を楽しむことができます。
館内の至る所から遊び心を感じられることも魅力のひとつ。ニッチなアイデアで建物の角や狭小空間を「書斎」として蘇らせたり、庭に桜の大木で包み、「隠し部屋」のような雰囲気でコーヒーやハーブティー、ワインなどをいただける、くつろげる空間を作ったり。そんな仕掛けが施された見たこともない空間がこの宿にはあり、子供の頃を思い出し無邪気な気持ちにさせてくれます。お部屋だけで過ごすのではなく、館内の至る所で遊んで過ごす、あなたのお気に入りの場所を探す冒険が始まります。
施設名 | 庭園の宿 石亭 |
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Reluxグレード | グレード3 |
住所 | 広島県廿日市市宮浜温泉3-5-27 |
施設の特色 | ・子供の頃を思い出させてくれる、館内の仕掛けの数々 ・1,500坪の庭園を囲うように作られた、わずか12室の客室 ・「床下サロン」や「草々亭」など、充実したくつろぎのスペース |
日本三景をひとりじめできる贅沢旅へ
今回は、「日本三景」の絶景を眺める7つの旅館をご紹介しました。子供心をくすぐるような遊びに富んだ宿やあなただけの一皿をいただける宿など、それぞれの魅力は異なります。しかしどの宿でも、心から美しいと思える風景を望み、思い思いの旅を楽しめるでしょう。もし気になる宿がありましたら、ぜひ足を運んでみてください。
TOP画像出典:Relux|玄妙庵
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